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自己破産と損害賠償の支払い
1 自己破産とは
自己破産とは、裁判所にて行う手続きによって、債務の支払いを免除してもらう法的な手続きのことをいいます。
銀行や消費者金融等の金融機関からの借金については、自己破産によって支払い義務が免除されますが、損害賠償義務については、自己破産をすると支払い義務を免れることはできるのでしょうか。
2 自己破産をしても免除されない損害賠償義務
自己破産をしても支払い義務が免除されない債務として、破産法上、「悪意で加えた不法行為による損害賠償義務」、「故意または重大な過失によって加えた、人の生命、身体に対する損害賠償義務」が挙げられています。
これらはいずれも、被害者救済の必要性が類型的に高いことから、自己破産をしても支払い義務が免れられないものとされています。
⑴ 悪意で加えた不法行為による損害賠償義務
ここでいう悪意とは、不法行為の被害者に対して積極的に損害を与える意思を意味するとされています。
例えば、会社のものを横領して損害を与えてしまったり、嫌がらせ目的で相手の物を壊すなどの行為は、これに当たる可能性があります。
⑵ 故意または重大な過失によって加えた、人の生命、身体に対する損害賠償義務
例えば、相手を殴ってケガをさせてしまった場合や、飲酒運転や重大なスピード違反などで車を運転し、事故を起こして怪我をさせてしまった場合などがこれに当たる可能性があります。
他方で、人の生命、身体に対する損害賠償義務であっても、出合頭の衝突事故など、重大な過失とまではいえない場合には、自己破産をすることで損害賠償義務を免れられる可能性があります。
3 自己破産に関するご相談は、弁護士法人心まで
このように、損害賠償義務の中にも、自己破産によって支払い義務が免除されるものと、されないものがあります。
しかし、その判断は個別的な事情によって大きく左右されますので、自己破産をお考えで損害賠償債務を負っている方は、相談の際に弁護士に見通しについてお尋ねください。